脾の働き

 「脾」というと、現代医学での「脾臓」を思い浮かべる方も多いと思います。

現代医学の「脾臓」の代表的な働きは、血液中の赤血球を貯蔵したり、古くなった赤血球の処理をしています。ところが、中医学でいう「脾」は現代医学の「脾臓」とはまったく違います。

では、その代表的な働きを紹介しましょう。

 

=運化作用=

 人が生きてゆく為には外界からエネルギーの原料となる物を摂り入れなければなりません。その代表的な物が飲食物です。脾は口から摂取した飲食物から栄養素を吸収し、生きるために必要な気・血・水などを作り全身へ輸送します。その働きを総称して「運化水穀」といいます。また、「運化水穀」の過程で、水分について指す場合は「運化水液」といいます。

もし、脾の「運化水穀」の作用が失調してしまうと、食欲減退・下痢などが起こり、さらに飲食物から気や血などが作られなくなると、倦怠・息切れ・めまい・動悸などが起こり、「運化水液」が失調すると、浮腫みや体が重くなったり、痰や目ヤニなどが分泌されます。

 

=昇清作用=

 上記したように、脾は飲食物から「気・血・水」などを作り全身へ巡らせていますが、その過程として、脾で作られた「気・血・水」は脾により一旦肺や心に持ち上げられます。この働きを「昇清作用」といいます。

また、内臓が下垂せずに、定位置で安定しているのも、この脾の昇清作用によるものです。

もし、「昇清作用」が失調してしまうと、立眩みや頭がボーとしてしまったり、内臓下垂が起こります。

 

=統血作用=

 脾は血が血脈(血が流れる通路、現代医学の血管に類似)から漏れ出さないようにもしています。この働きを「統血作用」といいます。

もし、統血作用が失調してしまうと、皮下出血や女性では不正出血などが起こります。

 

中医学では、「脾」は消化の中心となり、生きるために必要な気・血・水などを作り全身へ巡らせたり、内臓が下垂しないように定位置に保ったり、血が漏れ出さないようにしたりと、とても大切な働きをしているのです。暴飲暴食・無理なダイエットや過度な思い悩みは脾を傷つけてしまいます。気をつけて下さい。

 

最近のエントリー