心(しん)の働き

 心は現代医学の心臓に近いものですが、全く同じではありません。

なぜなら心(しん)は血に関わるだけでなく、皆さんがイメージする心(こころ)のような働きもするからです。

 

代表的な心(しん)の働きは、主血脈(血脈をつかさどる)・蔵(ぞう)神(しん)(神を蔵す)・神明(しんめい)(神明をつかさどる)の3つがあります。

 

 

=主血脈=

 血脈とは、血の通り道をさします。イメージ的には血管みたいなものと考えて下さい。

主血脈とは、血の生成と運搬の働きをさします。

心は脾で作られた血を赤色にし、完成した血を血脈を通し全身へ巡らせます。

このことから、もし心(しん)の働きが弱まると、動悸・不整脈・胸の痛み・顔色がさえず艶が無いなどの症状があらわれます。

 

 

蔵(ぞう)神(しん)・主神明(しんめい)

 蔵神の神(しん)と主神明の神明は同じもので、イメージ的には思考活動や精神状態を正常に保つ働きのものと考えてください。

(神の詳細は、入門編の「神(神明)とは」をご覧ください)

 

蔵神とは、神は心の中に在るという意味ですが、これは単純に存在のみを指すわけではなく、神は心の血(心血)により栄養されているという意味も含みます。

 

主神明とは、心により神明がコントロールされているとい意味で、このことにより精神活動が活発に行われています。

つまり神は、心の中に在り、心の血により栄養され、心にコントロールされることにより、正常に活動できるのです。

 

このことにから中医学では、もし心の働きが弱くなると神をコントロールできなくなったり、心の血が不足すると神を栄養出来なくなり、不眠や夢が多くなったり、ボーとしたり、不安感や物忘れ、動悸、思惟の混乱、精神異常など精神的な症状が現れます。

これら蔵神や主神明は、皆さんがイメージする心(こころ)に近い働きです。

 

心臓は胸に在りますし、心(こころ)も胸にあるイメージで思考活動や精神状態の中心です。

また昔から、「胸が痛い」「胸に手を当ててよく考える」「胸が詰まる」など、感情に関する言い回しに胸を意識したものが多くあります

 

=その他の働き=

 その他の働きとしては、汗の調節や舌の動きに関与します。

このことから心(しん)の失調は、発汗異常・舌のこわばり・言語障害・口内炎などをまねくことがあります。

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