脾と心で協調して行う生理

脾と心はお互いに協調し合って、「血の生成と運行」や「精神活動の維持」を行っています。

 

=血の生成と運行=

脾には「運化水穀」という働きがあり、摂取した飲食物から血を作り、心へ送ります。

心は脾から送られてきた血を赤くし、全身へと送り出します。

心から送り出され全身を巡る血は、脾の「統血」作用により、血脈(血の流れるルート、現代医学の血管に類似)から漏れ出ることなく、全身を循環することが出来ます。

※尚、詳細は入門編の【気・血・津液】内の「血の生成代謝」を、各臓器の働きは、【五臓】内の「脾の働き」と「心の働き」を参照して下さい。

 

=精神活動の維持=

中医学では精神を統括している物質を「神明」といいます。この「神明」は心に蔵されており、心の血(心血)によって栄養され、心の気(心気)により統括されることで正常な精神状態が維持されます。(詳細は、「心の働き」と「神(神明)とは」を参照して下さい。)

 

先述したように血は脾で作られ、心に送られます。つまり、心や神明を栄養している心血は脾で作られているわけです。また、脾は心が全身に送り出した血によって栄養されることで正常に機能し血を作ることができます。このことから、心と脾が協調して正常な精神状態を維持していることがわかります。

 

上記の事から、心血や脾気の不足はお互いに影響し合うことが理解できると思います。このような状態を、「心脾両虚証」といい、心血の不足による、動悸や不眠などの精神症状の失調などに加え、食欲不振などの脾が中心となって行っている消化に関する疾患が同時に現れることがあります。

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