秋に備えて(秋口の養生法)

▼本格的な秋を迎える前に▼

 

秋は「食欲の秋」「収穫の秋」「味覚の秋」「読書の秋」「運動の秋」・・・などと言われます。皆さんにとっての秋はどれでしょう?

さて、中医学では、秋は「収」の季節と言って、『摂り込む季節』とされています。

現代は、お店にさえ行けば真冬でも容易に食材を手に入れることができますが、昔はそうではありませんでした。

冬は食物が少なかったので、秋は冬に備えて体に蓄えを増やす季節だったわけです。

ですから、この時期の動物を見てみると冬眠にそなえて一生懸命栄養を体内に摂り込んでいます。

このように、秋は栄養を身体に溜め込む時期なのです。

 

勿論、自然もそれに答えてくれています。

例えば秋に穫れる種や木の実などは、でんぷん・脂肪・ミネラル・ビタミンが豊富で、滋養強壮作用が強いものが多くあります。

またそれ以外にも自然界からのエネルギーを沢山蓄えた食材が多く出回ります。

 

しかし、いくら栄養がある食べ物を食べても、体がしかりと栄養を吸収してくれなければ栄養は蓄えられません。

というわけで、本格的な秋が来る前に、夏の暑さや冷たい物の摂り過ぎにより受けた、体や胃腸のダメージを回復させて、しっかり栄養を吸収できるように体を整えておかなければなりません。

 

又、夏の暑さは体から体力を奪います。中医学では「暑傷気陰」といい、暑さは気陰を消耗させると考えています。

ここでいう「気陰」とは、体力や潤いと考えていただいて結構です。

また夏は汗を沢山かきますが、中医学では大量に汗をかくと「気随液脱」といって、汗と一緒に気も体外に漏れ出てしまうと考えます。

 

さらに今後やってくる秋は乾燥の季節です。体から潤いが奪われやすくなります。

こういった意味でもこの時季は、栄養を吸収できるように体を整えながら、「気陰」を補わなくてはなりません。

この夏、夏バテになった人は、特にしっかり体を整えましょう。

 

 

=睡眠=

気を補うには質の良い睡眠が必要不可欠です。

しかし、最近の夏はとても寝苦く睡眠不足になったり、睡眠のリズムが狂った方も多いと思います。

中医学の古典では、秋は「早寝早起き」をするように書かれております

真夏と違い今は夜になればだいぶ涼しくなってきました。

そこで、比較的寝やすくなってきた今から早寝早起きで生活のリズムを取り戻し、質の良い睡眠を得ることで奪われた「気」を取り戻しましょう。

また、中医学では体を潤す力も12時前の睡眠中に補われると考えております。

この意味でも、この季節は、「早寝早起き」を実践したいものです。

 

=食事=

夏はどうしてもアッサリしたものを多く食べ、栄養不足になっていたり、冷たい物を摂り過ぎて胃腸にダメージを与えております。

 

中医学では、冷たい物の摂り過ぎは脾胃を傷つけるといわれます。

実は中医学でいう脾胃には、食べ物から栄養を吸収する働きがあります。

このことから、中医学でいう脾胃を労わることが、冒頭で述べたしっかり栄養を吸収できるように体を整えることにつながります。

この時期は脾胃を整える働きと気を補う食材を食べるとよいでしょう。

また、夏に体を冷やしてしまった方は、温める働きのあるものを食べて、体の中からも温めてあげましょう。

《秋口に食べるとよい、脾胃を整え気を補うといわれる食材》

さば・さんま・いわしなどの青魚、さつまいも・里芋・じゃがいもなどのイモ類、米などの穀類、くるみなどのナッツ類、豆類、ゴボウ・人参などの根葉、きのこ類、かぼちゃ、しそ、ひらめ・カレイ・太刀魚・どじょう・なまず・鯉・鮒・帆立、きじ、羊肉・牛肉、グアバ茶・杜仲茶・高麗人参茶など

《体やお腹を温めるといわれる食材》

赤貝・羊肉・牛肉・鶏肉・なつめ・生姜・らっきょ・にら・よもぎ・桃・もち米

 

先程も述べましたが、この季節は栄養豊富な食材が出回ります。

旬の食材を上手に摂り入れて、気を補ってあげましょう。

又、夏は汗をかいたりして体は水分不足になっております。秋は体に潤いを与えてくれるフルーツが沢山出回ります。

旬のフルーツを食べて水分の補給もお忘れなく!

※食事について担当医から指導を受けておられる方や、持病をお持ちの方は、担当医の指示に従て下さい。

 

 

=冷え=

実は夏は意外と体を冷やしている方が多く見受けられます。

これは冷房の当たり過ぎや、冷たい物の摂り過ぎによるものですが、このような方は内と外から体を温めてあげましょう。

外から体を温める方法で一番いいのが入浴です。

入浴法は、38℃~40℃位のぬるめのお湯にじっくりつかり体を温めましょう。

この時にレモンやみかんなどの柑橘系フルーツの皮をお風呂に入れれば、気を流す働きもあり、ストレス解消にもなります。

また、郊外の温泉などに行きのんびりとリラックスしながら体を温めるのもいいですね。

内から体を温める方法は、食事になりますので、上記の「食事」のコーナーを参照になさり、内からも体を温めてあげて下さい。

 

 

夏バテなどしなかったという方でも、この時季の体は栄養不足や冷えなどで、意外とダメージを受けています。

良質の睡眠・栄養のある食事・身体を温める・そして、適度な運動により、体を整え、「収」の秋を迎える準備をしましょう!!

最後までお読みいただき有難うございました。

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