中医学の生理観

 ここでは中医学がどのように身体を捉えていて、健康とはどのような状態をいうのかなど、中医学の生理観について紹介します。

 中医学を理解する上で、大事な概念の一つに「天人合一(テンジンゴウイツ)」あるいは、「天人相応(テンジンソウオン)」という哲学があります。これは中医学の根底にある考えで、自然界の仕組みと人間の身体の仕組みは基本的には同じであるという思想です。古人は、自然界の法則を人体に当てはめて体の仕組みや病気の発病メカニズムを分析し、中医学を確立させました。

 さらに、古人が確立した中医学は時代時代で進化をしてきました。その進化の途中で自然の法則の中で人間の身体に当てはまらないものは徐々に排除されて現在に至ります。

ですから、全ての自然の法則が、体に当てはまるわけではありませんが、中医学の生理感の根底にはこの「天人合一」の考えが存在し、特に病気になる仕組み(病理観)などは、この考えが強く反映されています。

現代医学の概念がしみついている我々には最初は理解しにくい考え方ですが、中医学を理解するうえではとても大切な概念ですので、記憶の片隅にでも留めておいて下さい。

 

 

 さて、人間は生きていくためには、食べ物を食べて、酸素を吸わなければなりません。この考え方は中医学も西洋医学も同じです。

皆さんもご存じのように現代西洋医学では生きてゆく為に摂取した栄養素から、糖類・脂肪酸・アミノ酸・ATPなどに分解転換し、筋肉や骨などを作ったり、エネルギーなどに変えていきます。

ところが中医学では、吸収した物から、「気・血・水」というものを生成します。これらは、先ほどのATPやアミノ酸といったものと同様に、生きるためには必要なもので、これらから筋肉や骨あるいはエネルギーなどがつくられます。そして中医学では、この「気・血・水」が過不足なく、且つ滞ることなくスムースに流れている状態を健康な状態と考えます。逆をいえば、体が不調な時は「気・血・水」のどれか或いは複数が、過不足や滞りがおきていると考えられるわけです。

 

※気血水については、それぞれのコーナーをご覧下さい。

 

 

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