不妊症

中医学では不妊症の原因を大きく、生殖器における気血水の滞りと、栄養不良に二分し、更に滞りや栄養不良を起こしている原因により、幾つかのタイプに分類します。

 

代表的なタイプとしては、下記の6タイプがあります。

「ストレス・イライラ タイプ」

「血液代謝障害タイプ」

「水液代謝障害タイプ」

「貧血タイプ」

「冷えタイプ」

「冷却不足タイプ」

 

 

『ストレス・イライラ タイプ』

中医学では、「肝鬱不孕(ふよう)」といいます。

肝には、「疏泄(そせつ)作用」といって、気の流れを促進させる働きがあります。

気の流は血行にも影響し、女性の生理が順調に来るのも、この「疏泄作用」が一役をかっています。

ところが、肝はストレスにとても弱く、長期あるいは強いストレスを受けると、「疏泄作用」が低下し、気血の滞りが生じます。もし、生殖器で気血の滞りが生じると妊娠しづらくなってしまいます。

 

=症状=

生理や生理痛の特徴)

ストレスや緊張すると生理不順となる

生理がスッキリ始まらない

生理の前になるとイライラしたり怒りっぽくなる

生理前に乳房が張ったり、痛くなる

生理痛は痛みより張り感の方が強い

その他)

妊娠願望が強い

お腹にガスが溜まりやすいなど

 

=養生=

―ツボ刺激―

子戸・胞門:どのタイプの不妊症でも使えるツボです。おへそから指4本分下がった所か

      ら指3本分外側左右に行ったところ。右側が子戸で左側が胞門です。

太衝:気の流れを良くしてくれるツボです。足の甲で親指と人差し指の骨の交わった所の

   前

気海:下半身の気の流れを良くしてくれるツボです。おへそから指二本分下

―食養生―

食材)

牛乳・あさり・かき・かに・しじみ・しゃこ・しらす・からしな・こまつな・シソ・セロリ・春菊・みょうが・パセリ・三つ葉・にら・ねぎ・菊花・キャベツ・かいわれ大根・大根・ほうれん草・かぶ・ザーサイ・金柑・グレープフルーツ・みかん・ゆず・檸檬・こしょう・しょうが・そばなど

お茶)

ジャスミンティー・ミントティーなど

―その他―

・このタイプの方はとにかくストレスを溜めてはいけません。映画鑑賞・ショッピング・

 ウォーキングなど、自分に合ったストレス発散法を見つけてストレスを発散させましょ

 う。

・ストレッチはお部屋の中で気軽にでき、気を流す効果もあります。お気に入りの音楽や

 芳香剤の中でリラックスしながらストレッチをしてみてはいかがですか。

 

 

『血液代謝障害タイプ』

中医学では、「血瘀不孕」といいます。

冷え・ストレス・子宮筋腫・卵巣嚢腫・難産・流産・中絶などは、血の流れを阻害します。生殖器で血の滞りが発生すると妊娠しづらくなります。

 

=症状=

生理や生理痛の特徴)

生理痛は、刺す様な強い痛み

生理の血の色は黒ずみ、血の塊が多く出る

 

その他)

子宮筋腫や卵巣嚢腫がある

流産・難産・中絶を経験した後から妊娠出来ない

顔色がくすみがち

皮膚に潤いがなくザラザラしている

日焼け、火傷、傷痕がなかなか消えない

シミやソバカス、内出血、目の下にクマができやすい

 

=養生=

―ツボ刺激―

子戸・胞門:どのタイプの不妊症でも使えるツボです。おへそから指4本分下がった所か

     ら指3本分外側左右に行ったところ。右側が子戸で左側が胞門です。

血海:膝の皿の上の内側の角から親指の幅2本分上の所。

三陰交:内くるぶしの上、指4本分で骨際の所。

―食養生―

食材)

小豆・黒豆・あじ・いわし・かつお・こはだ・さんま・さば・まぐろ・あぶらな・アスパラガス・生姜・トマト・唐辛子・かぶ・たまねぎ・なす・にら・きくらげ・ねぎ・にんにく・らっきょ・ピーマン・ほうれん草・いちご・メロン・桃など

お茶)

ウコン茶・ローズティー・紅花茶など

―その他―

・下半身を冷やさないようにしましょう。特に生理中は気をつけて下さい。

・長時間同じ姿勢で座っていると、下半身の血流を悪くしてしまいます。1~2時間おき

 に立ち上がって、ストレッチや腰の運動をするように心掛けましょう。

・このタイプの方は、タンポンよりナプキンがおすすめです。

 

 

『水液代謝障害タイプ』

中医学では、「痰湿不孕」といいます。

お酒の飲み過ぎや甘い物・脂っこいもの・味の濃いもの・生ものなどの食べ過ぎや肥満は、体内の水液代謝を阻害し、余分な水分が停滞してしまいます。この影響で生殖器の気血の流れが妨げられ妊娠しづらくなります。

 

=症状=

生理の特徴)

粘り気のあるオリモノが多くでる。

 

その他)

肥満傾向

下半身が浮腫みやすい

体力がなく、息切れをする

少し動いただけで汗が出る

舌に厚めの苔がある

下痢または軟便傾向

梅雨時季や湿気が多い日は体調が悪い

 

=養生=

―ツボ刺激―

子戸・胞門:どのタイプの不妊症でも使えるツボです。おへそから指4本分下がった所か

     ら指3本分外側左右に行ったところ。右側が子戸で左側が胞門です。

中極:利尿効果があるつぼです。おへそと恥骨の間を5等分し、恥骨から上に5分の1の

   所。

陰陵泉:体内の余分な水分をとってくれるツボです。膝関節の内側のすぐ下で、押すと凹

    む所。

―食養生―

食材)

小豆・大豆・黒豆・空豆・えんどう・はとむぎ・トウモロコシ・冬瓜・苦瓜・きゅうり・西瓜・そば・あさり・あわび・しじみ・はまぐり・どじょう・鯉・昆布・のり・わかめ・ところてん・きゅうり・さやえんどう・セロリ・とうがん・もやし・白菜・ズッキーニ・ごぼうなど

お茶)

プーアール茶

―その他―

・食べ過ぎ飲み過ぎに注意。偏食はせず、バランスよく食べましょう。

・下半身を冷やさないようにしましょう。

 

 

『貧血タイプ』

中医学では、「血虚不孕」といいます。

過労や慢性病、胃腸の虚弱や過剰なダイエットによる栄養不足で血が不足し、生殖器が栄養不足になると妊娠しづらくなります。

 

=症状=

生理や生理痛の特徴)

生理周期が遅い、または生理期間が短い

生理の血の量が少なく、色は淡い

生理時に、眩暈や立ちくらみが起こる

生理痛は、生理の後半に起こることが多い

その他)

顔の色艶が悪い

髪や皮膚に潤いがない

眼精疲労

やせ気味で、便秘がち

爪がもろい

不眠または、眠りが浅い

夢をよく見る

 

=養生=

―ツボ刺激―

子戸・胞門:どのタイプの不妊症でも使えるツボです。おへそから指4本分下がった所か

     ら指3本分外側左右に行ったところ。右側が子戸で左側が胞門です。

三陰交:血行をよくしてくれるツボです。内くるぶしの上、指4本分で骨際の所

―食養生―

食材)

黒米・赤米・黒豆・小麦・あわ・クコの実・牛乳・卵・軟骨や皮付きの肉・赤身肉・レバー・ひらめ・うなぎ・あなご・なまこ・かき・ふかひれ・えいひれ・スッポン・人参・ほうれん草・ひじき・きくらげ・ライチ・プルーン・レーズン・ブルーベリー・ざくろ・いちじく・くるみ・桑の実・松の実・くろごまなど

お茶)

なつめ茶

―その他―

・睡眠はしっかりとりましょう。(午前0時前には寝る)

・生理後は特に血液を増やす食材をとりましょう。

 

 

「冷えタイプ」

中医学では、「陽虚不孕」といいます。

疲労しているところに冷えを受けたり、生まれつき体を温める力(陽気)が不足していたりすると、生殖器を温められず妊娠しづらくなります。

 

=症状=

生理や生理痛の特徴)

生理周期は遅め、ひどいと生理が止まる

生理の血の色は淡く、量は少ない

その他)

基礎体温の高温期が低い、あるいは一定しない。または、なかなか上がらない

冷え症・寒がり

下腹部を触ると冷たく、力がない

冷えるとトイレが近い、あるいは夜間尿

尿は色が無く比較的多め

足腰がだるい

顔色が暗い

性欲の減退

 

=養生=

―ツボ刺激―

子戸・胞門:どのタイプの不妊症でも使えるツボです。おへそから指4本分下がった所か

     ら指3本分外側左右に行ったところ。右側が子戸で左側が胞門です。

関元:身体を温めてくれるツボです。おへそから、指4本分下。手の平やホカロンなどで

   温めてあげましょう。

―食養生―

食材)

えび・なまこ・羊肉・黒ごま・黒豆・生姜・かぼちゃ・ねぎ・にら・くり・くるみ・など

―その他―

下半身を冷やすのは禁物です。気をつけて下さい。

 

 

『冷却不足タイプ』

中医学では、「陰虚不孕」といいます。

過剰な性行為や徹夜が多かったりすると、腎の陰のエネルギーが消耗してしまいます。すると、生殖器が栄養不足となり妊娠しづらくなります。

 

=症状=

生理や生理痛の特徴)

生理周期が早い

生理の血の量は少な目

 

その他)

低温期が短い

性交時に膣に痛みがある

手の平や足の裏がほてる

寝汗をよくかく

頬が赤い

口や喉が乾く

やせ気味で便秘がち

足腰がだるい

不眠やイライラがある

 

=養生=

―ツボ刺激―

子戸・胞門:どのタイプの不妊症でも使えるツボです。おへそから指4本分下がった所か

     ら指3本分外側左右に行ったところ。右側が子戸で左側が胞門です。

復溜:陰のエネルギーを増してくれるツボです。内くるぶしから、指3本上で、骨とアキ

   レス腱の間

―食養生―

食材)

はちみつ・梨・ぶどう・山芋・白きくらげ・黒きくらげ・いか・牡蠣・牛乳・鴨肉・スッポン・ツバメの巣など

 

―その他―

辛い物はできるだけ控えましょう

 

 

最後までお読み頂き有難うございました。今回は不妊症の代表的なタイプと養生法を紹介いたしました。実際には、今回紹介したタイプ以外のものや、複数のタイプが合わさったものなどもあります。不妊症でお悩みの方は、お気軽にご相談下さい。

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