血のトラブル

 先ず「血のトラブル」を紹介する前に、「血」の働きを復習しましょう。

 (詳細は「血の働き」をご覧ください)

 

 主な血の働きは下記の2つがありました。

a、全身を栄養する。

b、精神活動を支える。

 

aは現代医学の血の概念に近いものでしたが、bは中医学独特の考え方でしたね。

 

上記のことから、血のトラブルは全身の栄養不足による症状と、精神障害の2種類の症状が現れます。

 

 では最初に、どのような時に「血」のトラブルが起るのか時かを考えてみましょう。

 

 

 先ず考えられるのは、「血」の量が不足してしまうと「血」の機能が低下してしまいます。

イメージ的には現代医学でいう「貧血」に近い感じで、中医学では『血虚(けっきょ)』といいます。

ただ、いままでご紹介してきたように、現代医学の「血」と中医学の「血」は全くの同じものではないので、「貧血」イコール「血虚」ではありません。あくまでもイメージが似ているというだけです。

大量出血・目の使い過ぎ・過度な筋肉疲労・過度な精神疲労・消化不良などにより、「血虚」は起こります。

 

 次に、正常な状態の「血」は全身を栄養するためにスムースに全身を巡っています。

これが滞ってしまっても「血」の機能が低下してしまいます。

この状態を『瘀血(おけつ)といいます。

イメージ的には「血行不良」と考えて頂いて結構です。瘀血の原因には、冷え・熱・血虚・疲労(気虚)・ストレス(気滞)・打撲や手術などの外傷などがあります。(気虚・気滞については「気のトラブル」を参照下さい)

 

 次に「血虚」「瘀血」の症状について紹介します。

血虚の症状:顔色や下の結膜が血色なく艶もない、唇・爪が白い、爪が薄くて折れやすい、不眠、夢を多くみる、精神不安・めまい、目の乾きやかすみ、夜盲、視力低下、手足のしびれやひきつり或いはふるえ、動悸、健忘、月経量の減少、生理が遅れる、無月経、生理の後半に現れる生理痛、髪に艶や潤いがなく枝毛切れ毛が多い、乾燥肌や敏感肌、便秘、など

瘀血の症状:顔色がくすみがち、肌のガサツキ、アザや内出血しやすい、シミやソバカスが増えた、歯茎や唇や爪の甲の色が紫、目の下にクマができやすい、生理血に血塊が多い、動悸、など

 

 上記が血のトラブルにより現れる症状です。

全体的にまとめると、血のトラブルは、血の不足による「血虚」と血行不良による「瘀血」があり、症状は栄養不足による様々な症状と精神障害が現れます。

 

※尚、血のトラブルの養生法については『養生編』の「血のトラブルの養生法」をご覧ください。

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