浜田山の鍼灸院

【めまい】


一言に「めまい」といっても、フワフワするものや、自分が回転しているような感じがするものなど色々ありますが、いずれにせよ「めまい」はとても嫌な感じを受けますし、頻発して起るととても不安になります。

眩暈の原因には様々な事が考えられます。あまり頻発して起る様であれば、先ずは病院で検査を受ける事をおすすめいたします。

しかし、病院で検査をしても悪い所が見つからない方も少なくありません。

その様な方は、発想を転換して中医学による治療を受けるのも一つの方法だと思います。

中医学では、「めまい」を現代医学とはまったく違う角度で診ます。

ここでは、中医学の観点からめまいを紹介いたします。

 

「めまい」は「眩暈」「目眩」「眩冒」などと書きます。

中医学では、目がかすんで目の前が暗くなるものを「眩」

物がぐるぐる回って見えたり、揺れて動いているように見えるものを「暈」といいます。

ただ通常両者は同時に起るので、「眩暈」と総称してよんでいます。

目がかすんで、頭がふらつき、自分もしくは周りが回転するようなものを「目眩」

目の前が暗くなり、激しいふらつきや自分もしくは周りが回転するものを「眩冒」といいます。

中医学では、「めまい」を原因や発病のメカニズムより幾つかに分類します。

代表的なものとしては

1)イライラ・のぼせタイプ

2)水分代謝異常タイプ

3)虚弱+血液不足タイプ

4)エネルギー不足タイプ

 

 

1)イライラタイプ(肝陽亢進タイプ)

中医学は数々の中国古代哲学をベースに発展してきました。そんな古代哲学の1つに「天人合一」という思想があります。

これは、「人も自然の一部であり、自然界の摂理と人体の摂理は同じである」とう考えです。

つまり、自然界で起こることは、人体でも起こるということです。

例えば、自然界では火事など大きな火が起こると必ず風が生まれます。

これは、人の体でも同様に、体内の熱は体内で風を生みます。

また、風が大きな木などを揺らすように、体内で起こった風は体や頭を揺らします。これが「めまい」となります。

体内で熱がうまれる原因は幾つもありますが、その中の1つにストレスなどの情志の抑鬱があります。

よく「気がつまる」とか「気がすすまない」などと言いますが、ストレスなどの情志の抑鬱は、体内の気の流れを停滞させてしまいます。

気には「温煦作用」といって、温める働きがあるので、気が停滞してしまうと熱化してしまいます。この熱が風をうみ「めまい」を起こさせてしまいます。

ストレス以外の要因としては、寝不足や過度の性交などは体を冷やす力を損ない、熱をうんでしまいます。また、体質的に熱がうまれ易い方もいます。

 

=症状=

・めまいは、急に起り激しいことが多い

・怒ったりイライラするとめまいが発症したり悪化する。

=その他の症状=

・耳鳴り

・こめかみや頭頂部の頭痛

・すぐにイライラしたり怒りっぽい

・不眠

・口が苦い

・赤ら顔

・寝汗

・膝や腰がだるく力が入らない

・手足や胸のほてり、など。

 

=養生法=

このタイプの方は気を流す養生法を実践しましょう。

【ツボ刺激】

風池:後頭部の出っ張りの下で髪の毛の生え際のくぼみ。少し上を向いて、背骨から上がって指が止まるくぼみと、耳の下を結んだほぼ中間。

行間:足の甲にあり、親指と人差し指の付け根の間。

ツボを押している時に、一緒に深呼吸をすると更に効果が高まります。

三陰交:内くるぶしの上、指4本分で骨際の所です。

太谿:内くるぶしのすぐ後ろで、足首よりの凹んだ所です

【食べ物】

牛乳・牡蠣・あさり・しじみ・しゃこ・しらす・かに・みょうが・三つ葉・春菊・パセリ・セロリ・シソの葉・からしな・にら・ねぎ・小松菜・菊花・キャベツ・かいわれ大根・大根・かぶ・ラディッシュ・ザーサイ、みかん・グレープフルーツ・ゆず・キンカン・レモン・しょうが・こしょう・八角・ウイキョウ・ペパーミント・ローズマリー・タイム、など

※中医学ではミントやシソのような香りのあるものが「気」を流すと考えており、ストレス解消に役立つといわれています。

【お茶】

シソ茶・ジャスミン茶・ミントティー・タイムティー・ローズマリーティー・カモミール茶、など

【その他】

・ストレッチや深呼吸などは気を流す働きがあります。

・普段の生活では出来るだけストレスを溜めないようにし、ドライブ、ショピング、映画鑑賞など、ご自分にあったストレス発散法をみつけましょう。

・柑橘系の香りは「気」の巡りを改善させます。みかんやレモンの皮などを入浴剤としたり、お部屋の芳香剤としてみてもいいでしょう。また、アロマを代用する方法もあります。

 

 

2)水分代謝異常タイプ(痰濁タイプ)

中医学では余分な水分を「痰飲」といいます。イメージとしてはヘドロみたいなものです。

「痰飲」の性質の1つに「粘調性」といい、体内でベットリと張り付いてしまう性質があります。その為、体内を廻る気や栄養物は、「痰飲」によりスムースな流れを邪魔されてしまい、頭のなかで気血の巡りが悪くなったり、頭に気血や栄養物が届かなくなり、「めまい」が起こります。

 

=症状=

・めまいは、回転性のことが多い

・めまいに吐き気を伴う

・頭が重くぼんやりしている

・雨天など湿気が多くなったり、飲酒などで発症したり、悪化する

=その他の症状=

・胸苦しい

・悪心感

・食欲不振

・体や手足が重だるい

・眠くてしょうがない

・むくみやすい、など。

尚、このタイプは肥満傾向の方に多くみられます。

 

=養生法=

このタイプの方は、体内の余分な水分を排出させる養生法を実践しましょう。

【ツボ刺激】

中脘:お臍と鳩尾(みぞおち)の中間にあります。

陰陵泉:膝関節の内側のすぐ下で、押すと凹むところです。

中極:臍と恥骨の間を5等分し、恥骨から上に5分の1の所。

頭維:額の一番外側の髪の生際。

上星:額中央の髪の毛の生え際から親指の幅分上

やや強めに押しましょう。

【食べ物】

はとむぎ・とうもろこし・きゅうり・さやえんどう・セロリ・冬瓜・もやし・白菜・ズッキーニ・ごぼう・そば・ハスの実・小豆・大豆および大豆製品・緑豆・黒豆・えんどう・空豆・ネギ・にら・ニンニク・よもぎ・すいか・すもも・ぶどう・キウイ・メロン・こしょう・山椒・生姜・シナモン・羊肉・鶏肉・あさり・あわび・しじみ・はまぐり・ふな・どじょう・こい・すずき・昆布・のり・わかめ・ところてん、など

【お茶】

プーアール茶・緑茶・紅茶・ウーロン茶・ジャスミン茶、など

【その他】

・水分の摂り過ぎには十分注意しましょう。

・冷たい飲み物は避け、喉が渇いた時は出来るだけ温かいものを少しずつ飲みましょう。

・汗をかくと体内の余分な水分が出るので、入浴はあまり熱くない程度のお湯で長めに入り、汗をかくようにしましょう。また、程よい運動で汗をかくのもいいでしょう。

・食べ物には十分注意して、冷たいもの、生ものなどの採りすぎには十分注意しましょう。また、雨に濡れたりしないよう湿気にも十分注意してください。

・体が冷えると水分代謝が悪くなるので、服装も気を付けて下さい。

 

 

3)虚弱+血不足タイプ(気血両虚・脾胃虚弱タイプ)

中医学では、気や血が体を栄養すると考えます。頭もその例外ではありません。

また気や血は飲食物から作られ、食べた物を消化し気や血を生成する働きは主に脾や胃が行っております。その為、何らかの原因で脾や胃が弱まり気血が生成されなくなったり、不正出血など過度に出血してしまったり、慢性疾患で血を消耗してしまうと気血が不足してしまい頭が栄養されず眩暈が起こります。

 

=症状=

めまいは、横になったり休むと軽減し、疲労をすると発症したり悪化する。

=その他の症状=

・顔色につやが無く血色もよくない

・唇や爪にツヤがなく色も淡い

・息切れ

・話すのも億劫

・動悸

・不眠

・食欲不振

・胃腸が弱く、食後疲労感が強い

・倦怠感

・気力の萎え

・精神疲労、など

 

=養生法=

このタイプの方は、「気」「血」を増やす養生法を実践しまよう。

【ツボ刺激】

百会:頭のてっぺんにあります。鼻の頭から頭に伸ばした線と、両耳の一番高い所から真上に伸ばし、先程の線と交わる所。

足三里:膝関節外側から指4本分下で骨の際にあります。消化器系を強くし気を補います。

合谷:手の甲で、親指と人差し指が交わる手前のやや人差し指側。

気海:お臍から指2本分下にあります。

三陰交:イライラタイプを参照

※これらのツボを痛気持ちいいぐらいの力で、長めに押しましょう。

 【食べ物】

もち米・うるち米・赤米・はと麦・大麦・小麦・そば・とうもろこし・大豆および大豆製

品・空豆・枝豆・ひえ・きび・あわ・人参・じゃがいも・山芋・さといも・さつまいも

さやいんげん・かぼちゃ・キャベツ・まいたけ・しいたけ・ほうれん草・ゆりね・れんこ

ん・牛肉・鶏肉・カモ肉・キジ・豚レバー・牛レバー・羊肉・烏骨鶏・豚肉・赤みの肉・

うずらの卵・こい・ふな・どじょう・はも・いしもち・えび・たこ・すずき・いか・たち

うお・うなぎ・ひらめ・さめ・貝柱・すっぽん・なまこ・きくらげ・なつめ・いちじく

ピーナッツ(赤皮付き)・桑の実・ライチ・松の実・アボガド・パイナップル・ブルーベリ

さくらんぼ・桃・ぶどう・牛乳・たまご・プルーン、など

【お茶】

なつめ茶・ほうじ茶・杜仲茶・麦茶・はとむぎ茶・あしたば茶・マテ茶、など

 【その他】

過労は禁物です。また、「気」「血」は食べ物によって作られますので、上記を参考にきちんとしたバランスの良い食事をして下さい。また、このタイプの方は消化器系が弱い方が多いので、消化の良いものを食べましょう。しかし、食事は無理をして食べる必要はありません、お腹がいっぱいになったら食べるのを止めましょう。

更に、食事だけでなく睡眠もきちんととって下さい。夜更かしは禁物です、いくら睡眠時間が多くても、中医学では夜中の12時前に寝ないと良い睡眠とはいいません。

 

 

4)エネルギー不足タイプ(腎精不足タイプ)

「精」とは、人間が生きるために必要なエネルギー物質の1つで、腎に蓄えられています。このことから、一般に「腎精」と呼ばれています。「腎精」は赤ちゃんを成長させたり、生殖に関与したり、様々な働きがあります。更に、「腎精」は髄に化生し、脳や骨を栄養する働きもあります。生まれつき腎精が少なかったり、慢性疾患や老化、過度の疲労や性交は「腎精」を消耗させてしまい、めまいを起こさせます。

また、このタイプの方は、「のぼせタイプ」や「冷えタイプ」に進展する場合もあります。

 

=症状=

・疲労した日の夜に発症あるいは悪化する。

=その他の症状=

・耳鳴り

・難聴

・精神不振

・足腰がだるく力が入らない

・健忘

・精力減退

・不眠

・夢を多くみる、など

「のぼせタイプ」に進展すると、胸や手足がほてったり、寝汗などの症状が現れます。

「冷えタイプ」に進展すると、手足の冷え・寒がりなどの症状が現れます。

 

=養生法=

このタイプの方は、「腎精」を補う養生法を実践しましょう。

【ツボ刺激】

百会:水分代謝異常タイプを参照。

太谿:イライラタイプを参照。

関元:お臍から指4本分下のところ。

懸鐘:外くるぶしの上、指4本分で骨際の所です。

※いた気持ちいい程度の力で押しましょう。

【食べ物】

クコの実・黒豆・山芋・桑の実・はすの実・くるみ・くり・豚肉・鹿肉・なまこ・すずき、など

[お茶]

黒豆茶・クコ茶、など

【その他】

・過労、睡眠不足、過剰な性行為は禁物です。

・夜は睡眠をしっかりとりましょう。

 

最後までお読み頂き有難うございました。

ここで紹介させて頂いたタイプは代表的なもので、実際にはこれ以外のタイプや、幾つかのタイプが混ざり合っている場合もあります。判別が難しい場合はご相談下さい。

また、めまいには重大な病気が隠れている場合もあります。あまり頻繁に続くようであれば医師の診察を受ける事をおすすめいたします。

最後に、ここで紹介した養生法は一般的なものです。現在病院に通院されている方は、担当医にご相談されてから実施して下さい。