浜田山の鍼灸院

【生理の乱れ② =月経後期=】


一般に正常な月経は、ほぼ1カ月に1回のペースであります。

月経1日目から、次の月経前日までの期間は概ね25日~38日位が正常といわれており、この期間を月経周期とよびます。

通常は28日間といわれていることが多いようです。

現代医学では月経の乱れについて、月経周期が24日以下のものを「頻発月経」、

39日以上90日未満のものを「稀発月経」といいます。

 

中医学では、月経周期の異常を総称して「月経不調」といい、臨床上では下記の分類をいたします。

①月経周期が早まることを『月経先期』(早経)

②月経周期が遅れることを『月経後期』(経遅)

③月経周期が早くなったり遅くなったりすることを、『前後不定期』(経乱)といいます。

 

ここでは、②の『月経後期』(経遅)について紹介します。

 

 

月経後期はその原因や病理機序により幾つかのタイプに分かれます。

今回は代表的な4つのタイプを紹介します。

 

Ⅰ、『血行不良+冷えタイプ』

Ⅱ、『エネルギー不足+冷えタイプ』

Ⅲ、『エネルギー不足+貧血タイプ』

Ⅳ、『イライラタイプ』

 

それでは各タイプを養生法と伴に紹介してゆきましょう。

 

 

Ⅰ:『血行不良+冷えタイプ』

生理期間中や産後に体を冷やしたり、冷たい物を摂り過ぎるとお腹や下半身が冷えてしまいます。

その冷えが子宮やそれに関係する経絡に影響すると、中を流れる血に滞りが生じ生理が遅れます。

 

《生理の特徴》

月経血の量は少ない・血の色は暗い紅、また血痕が混じることがある・生理痛は下腹部が冷えて痛み、温めると楽になるが揉むと痛みが増す・

《随伴症状》

顔面が青白い・寒がり・手足の冷え・目にくまができる・内出血やあざができやすい、など

 

=養生法=

原因が冷えによる血行障害ですから、先ず、体を冷やさないようにしましょう。

特に生理時や産後は冷えが下腹部に入り込みやすい期間ですので注意しましょう。

更に、血行を良くする養生法も摂り入れましょう。

長時間座ったままや同じ姿勢でいると、「血」の巡りを悪くさせます。

このような時は、たまにストレッチなどをして体を動かしてあげましょう。

また、クーラーの当たり過ぎにも注意して下さい。

 

※※食養生※※

生理期間中や産後は、冷たい物・生ものは避けましょう。

また、野菜は体を冷やすので、温野菜にされることをおすすめいたします。

《おすすめの食材》

紅花・にら・にんにく・にんにくの茎・トマト・セロリ・なす・アスパラ・たまねぎ・ねぎ・らっきょう・しょうが・とうがらし・ピーマン・ほうれん草・かぶ・ちんげんさい・小豆・黒豆・さんざし・黒キクラゲ・マグロ・かつお・いわし・さば・こはだ・あじ・さんま・桃・いちご・メロン・ブルーベリー・酢・カレー・黒砂糖・紹興酒・赤ワイン・日本清酒・焼酎、など

 

[お茶]

ウコン茶・ローズティー・シナモンティー・紅花茶・紅茶・くず湯・ハイビスカスティー・田七人参茶

 

《ツボマッサージ》

・気海:どのタイプの経遅にも使えるツボです。臍の中央より指1.5本分下方にあります。

・気穴:どのタイプの経遅にも使えるツボです。臍の中央より指4本分下方にあります。

・三陰交:どのタイプの経遅にも使えるツボです。内くるぶしの上、指4本分で骨際の所です。

・帰来:臍と恥骨の間を5等分し、恥骨から上に5分の1の所から指の幅2本分外側にあります。

・天枢:臍を中心に左右に指3本外側にあります。

※このタイプの方はツボ押し以外にお灸をされても結構です。

 

 

Ⅱ:『エネルギー不足+冷えタイプタイプ』

元々虚弱な体質で冷え症の方が、病後や過度な性行為を行ってしまうと、子宮を温める力が弱くなってしまい、結果として生理が遅れてしまいます。

 

《生理の特徴》

月経血の量は少ない・血の色は淡い・血はさらっとしている・生理痛は下腹部が冷えて痛み、温めたり押さえると楽になり、冷やすと痛みが増す・月経痛の痛みはそれ程強くない・透明なオリモノが出る、など

《随伴症状》

顔色が青白い・寒がり・手足や全身の冷え・小便の回数が多く尿は透明・めまい・息切れ・腰のだるさ・お腹が冷たい、など

 

=養生法=

体を温める養生法を実践し、普段から冷えには十分注意しましょう。

特に生理中の冷えは厳禁です。食べ物や洋服には注意して下さい。

・スカートよりズボンがおすすめです。

・カイロを腰や仙骨の上などの温める効果のあるツボの上に貼るといいでしょう。

その他に下腹部を温めるツボは、おへその指4本分下や内ももにあります。

カイロが貼りづらい場所は、マッサージや湯たんぽなどで温めるといいでしょう。

・意外と夏に体が冷えておられる方を多くみます。冷房にも十分注意して下さい。

・入浴はそれほど熱くないお湯でじっくり温まりましょう。

入浴剤を使って効率よく温まりましょう。

・夜更かしは禁物です。

 

※※食養生※※

冷たい物や体を冷やす性質の食材はできるだけ避けたいものです。

しかし、夏は冷奴やそうめんといった冷たいものが食べたくなります。

このような時は一工夫します。例えば、冷奴やそうめんを頂く時は、ネギや生姜などの体を温める効果のある食材を薬味に加えることで、冷えの予防になります。

又、おかずなどで冷たいものや生野菜などを食べる際には、最初は温かいものを食べて、お腹の中を温めておいてから食べるなど、食べる順番に気をつけましょう。

特に生理中は気をつけて下さい。

《おすすめの食材》

黒砂糖・もち米・羊肉・鹿肉・牛肉・なまこ・えび・からし菜・ねぎ・ピーマン・らっきょう・にら・ししとう・ザーサイ・かぼちゃ・ながいも・香菜・栗・くるみ・とうがらし・からし・わさび・しょうが・にんにく・こしょう・シナモン・黒砂糖・八角・ウイキョウ・焼酒・老酒・赤ワイン、など

 

 [お茶]

紅茶・生姜紅茶・生姜黒砂糖茶・よもぎ茶・シナモンティー・シナモンミルクティー、など

 

《ツボマッサージ》

・気海:「血行不良+冷えタイプ」参照

・気穴:「血行不良+冷えタイプ」参照

・三陰交:「血行不良+冷えタイプ」参照

・命門:背中でお臍の反対側です。体を温める作用があるツボです。カイロを貼るとよいでしょう。

・太谿:内くるぶしのすぐ後ろで、アキレス腱の脇の凹んだ所です。

※このタイプの方は指圧以外にお灸をされても結構です。

 

 

Ⅲ:『エネルギー不足+貧血タイプ』

中医学では、疲労・慢性病・出産の回数が多いと血を消耗すると考えます。

また消化の中心である脾の働きが弱ると血の生産量が減ってしまいます。

このような状況になると生理血が溜まるまで時間がかかってしまい生理が遅れます。

 

《生理の特徴》

月経血の量は少ない・血の色は淡く、さらさらしていて塊は少ない・生理痛はそれほど酷くはない、など

《随伴症状》

顔色は艶が無く血色もよくない・唇や爪の色が淡い・目の乾きやかすみ、眼精疲労がある・めまい・動悸・髪の毛や皮膚の乾燥、など

 

=養生法=

血の消耗を抑える養生法を実践しましょう。

・精神活動や目は血によって栄養されております。過度な精神疲労や目の使い過ぎは血の

消耗を激しくしてしまいますので気をつけて下さい。

・中医学では汗のかき過ぎも血を消耗します。また、過度な発汗は気も一緒に消耗してし

まいます。ご注意ください。

・過労は禁物です

・睡眠もきちんととって下さい。夜更かしは禁物です、いくら睡眠時間が多くても、

中医学では12時前に寝ないと良い睡眠とはいいません

・このタイプの方は朝より夕方の方が疲れを強く感じる事が多いので、夕方以降はのんびり過ごすのもいいでしょう。

 

※※食養生※※

「気」「血」は食べ物によって作られますので、消化に良いバランスのとれた食事をして下さい。

《おすすめの食材》

あわ・小麦・人参・にら・ほうれん草・黒豆・黒米・赤米・ひじき・ライチ・サクランボ・竜眼肉・松の実・きくらげ・なつめ・豚肉・羊肉・烏骨鶏・軟骨付きの肉・豚足(皮付き)・牛レバー・羊レバー・豚レバー・プルーン・すっぽん・なまこ・すずき・うなぎ・あなご・いしもち・たちうお・かき・ふな・ふかひれ・えいひれ・黒ごま・まつの実・くるみ・ピーナッツ・牛乳・卵・黒砂糖、など

 

 [お茶]

なつめ茶・杞枸茶・ほうじ茶・杜仲茶・麦茶・はとむぎ茶・あしたば茶・マテ茶など

 

《ツボマッサージ》

・気海:「血行不良+冷えタイプ」を参照

・気穴:「血行不良+冷えタイプ」を参照

・三陰交:「血行不良+冷えタイプ」を参照

・足三里:膝関節外側から指4本分下で骨の際にあります。

 

Ⅳ:『イライラタイプ』

よく「あの人と一緒にいると気がつまる」などと言う方がいらっしゃいますが、中医学ではストレス・緊張・怒りなどが体に加わると、本来はスムースに流れていなければいけない気が渋滞を起こしてしまいます。

気と血は一緒に体内をめぐります。もし子宮や関連する経絡に気の滞りが起ると血も一緒に滞ってしまいます。

このような状態が長く続くと生理が遅れます。

 

《生理の特徴》

月経血の量は少ない・血の色は正常か紅で性質は普通か粘つくこともある・生理痛は痛みより張り感が強く、揉んでも気持ちよくなく逆に嫌な感じがする・生理前はイライラや抑うつ感があったり、乳房の張が強くなり、生理が始まると楽になる。

《随伴症状》

怒り易い・口が苦い・情緒不安定(特に生理前)・ゲップやおならが出やすい・ため息をよくつく・偏頭痛がある、など

 

=養生法=

出来るだけストレスを溜めないようにしましょう。

このタイプは気が滞っている方が多いので、気を流す養生法を実践しましょう。

・ストレッチや深呼吸などは気を流す働きがあります。

・普段の生活では出来るだけストレスを溜めないようにしたり、ドライブ、ショピング、映画鑑賞など、ご自分にあったストレス発散法をみつけましょう。

 小説や映画などを見て笑うのは勿論のこと、思い切り泣くこともストレス発散になります。

・柑橘系の香りは「気」の巡りを改善させます。みかんやレモンの皮などを入浴剤とした

り、お部屋の芳香剤としてみてもいいでしょう。また、アロマを代用する方法もあります。

・生活リズムも出来るだけ規則正しくし、精神も出来るだけ安定させるように心がけましょう。

 

※※食養生※※

《おすすめの食材》

あわ・牛乳・わかめ・かに・牡蠣・あさり・しじみ・しゃこ・しらす・みょうが・三つ葉・春菊・パセリ・セロリ・シソの葉・桑の葉・からしな・にら・ねぎ・にがうり・白菜・きゅうり・トモト・小松菜・菊花・キャベツ・かいわれ大根・大根・かぶ・ラディッシュ・ザーサイ、みかん・グレープフルーツ・ゆず・キンカン・レモン・しょうが・こしょう・八角・ウイキョウ・ペパーミント・ローズマリー・タイム、など

※中医学ではミントやシソのような香りのあるものは「気」を流すと考えており、ストレス解消に役立つといわれています。

 

[お茶]

シソ茶・ジャスミン茶・ミントティー・タイムティー・ローズマリーティー・カモミール茶・緑茶・菊花茶、など

 

《ツボマッサージ》

・気海:「血行不良+冷えタイプ」を参照

・気穴:「血行不良+冷えタイプ」を参照

・三陰交:「血行不良+冷えタイプ」を参照

・太衝:足の甲にあり、親指と人差し指の付け根の骨が交わる所の少し前にあります

※このタイプの方は、ツボを押しながら深呼吸もすると更に効果が高まります。

 

 

今回は代表的な月経後期のタイプと養生法を紹介いたしました。

今回紹介させて頂いたタイプはあくまで代表的なもので、実際はこれら以外のタイプの

ものや、幾つかのタイプが混ざっているものもあります。

又、経遅を放置していると、無月経に至る場合がありますので、早めの対処が必要です。

 

最後までお読みいただき有難うございました。

どうぞお大事になさって下さい。

ご質問等がございましたら、お気軽にご相談ください。