脾と肝で協調して行う生理

脾と肝はお互いに協調し合って、「血の生成と貯蔵」や「消化活動の調節」を行っております。

 

=血の生成と貯蔵=

 血は脾によって作られ、心へ運ばれます。その後、心の働きで全身を巡り、肝に集まります。肝は全身を巡った血を貯めるだけでなく、なんらかの原因により全身を巡っている血量が減った場合、貯めておいた血を全身へ廻し血液循環量が不足するのを防いでおります。このように脾と肝は協調して血の生成と貯蔵に関わります。

 

=消化活動の調節=

 脾は消化の中心を担っております。このような働きを「脾の運化作用」といいます。

具体的に「脾の運化作用」とは、食べた物を消化し体に必要な物と不必要な物に分け、体に必要な物から、気・血・津液を作り全身へ届ける働きです。したがって消化といっても単に食べた物を消化するだけではありません。

 肝には気の流れを促進する働きがあります。これを「疏泄作用」といいます。実はこの疏泄作用は、脾の運化作用の促進も行っております。このことから、肝は間接的に消化活動に関与していることがわかります。

 

上記のことから、例えば無理なダイエットをしたり、消化器系が弱ってしまうと、脾の血を生産する能力が下がり、やがて肝が溜めている血が減ってしまいます。すると、目や爪あるいは女性器などは、肝が溜めている血が直接栄養しているので、視力低下や疲れ目といった目のトラブルや、生理の乱れなどの月経のトラブル、爪の色が悪くなったり、脆くなったりします。

 また、中医学では肝はノビノビした状況を好み、逆にストレスなどの精神的抑鬱を嫌う臓器です。したがって、長期のストレスや過剰に怒ったりすると、肝の疏泄の働きが乱れ、その影響が脾の運化作用に及ぶと、食欲の減退や胃痛などが起こります。このような状態を中医学では、「肝脾不調」あるいは「肝胃不和」などといい、ストレス性胃炎や過敏性腸症候群の多くはこのタイプに属します。

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