日本人の多くの方が悩まされている肩こりを中医学の視点から紹介します。
一口に肩こりといっても、中医学では肩こりを起こす原因や発症のメカニズムの違いにより、数タイプに分類し、タイプごとに使用するツボや漢方薬が違います。
ここでは代表的なタイプを紹介します。
- 冷えタイプ
肩を冷やしたり、風邪のひき始めなどにおこる肩こりです。冷えは気血の流れ滞らせる性質があり、気血が滞ることにより肩がこってしまいます。
《肩こりの特徴》
こりの程度は比較的激しく、肩を触ると張りが強く、強く揉むと痛い・寒風にあたったり冷えるとコリが増し、温めてあげると和らぐなど。
《その他の随伴症状》
悪寒・発熱・頭や身体の痛み・鼻水・鼻づまり・クシャミなど
《養生法》
肩は温めてあげましょう。
《ツボ刺激》
大椎:首を前に倒した時に、首の根本で一番飛び出す骨の下。温めてあげても良い
至陽:両肩甲骨の一番下の尖った所の間で、背骨の上。ここも温めても良い。
天柱:首の骨と後頭部の骨が交叉する所で、首の骨の両サイドの筋肉の盛り上がった所。
風池:天柱から指の幅で1本位外側に向かい凹んだ所
後渓:手の小指の付け根の外側から1㎝位手首に向かって行ったあたりで、手を握った時にできるシワの先端
肩井:肩先と首の根本の中間、肩がこると自然と手が行く所。痛いけど気持ちがいい位の力で押しながら、肩を回すといいでしょう。
肘の周辺:肘を90度曲げてお腹の前に腕を持ってきたときに、肘の外側に出来るシワの先端から親指と人差し指の間に向かい手の平の幅くらい押して行き、一番痛い所。
外関:手首を甲側にそらした時に手首の甲側に出来るシワの真ん中から、指の幅2本分肘に向かって行った所
合谷:手の人差し指の骨と親指の骨が交わる所から少し人差し指寄り
- 水分代謝障害冷え型タイプ
身体の中の水分代謝が悪くなることにより、気血の流れが滞り肩がこります。主な原因としては、冷たい飲食物などの採り過ぎや、寒冷と湿気の多い所で長期間仕事や居住をしたなど。
《肩こりの特徴》
こりの程度は比較的激しく、肩を触ると張りが強く、強く揉むと痛い・肩が重かったり、冷感がある・冷えたり、湿度が高くなるとコリが増し、温めてあげると和らぐ
《その他の随伴症状》
肩こりに悪心をともなう・軽度の浮腫・四肢の冷え・胸がすっきりしない・眩暈・下痢または軟便など
《養生法》
肩は温めてあげましょう。
《ツボ刺激》
大椎:首を前に倒した時に、首の根本で一番飛び出す骨の下。温めてあげても良い
至陽:両肩甲骨の一番下の尖った所の間で、背骨の上。ここも温めても良い。
天柱:首の骨と後頭部の骨が交叉する所で、首の骨の両サイドの筋肉の盛り上がった所。
風池:天柱から指の幅で1本位外側に向かい凹んだ所
後渓:手の小指の付け根の外側から1㎝位手首に向かって行ったあたりで、手を握った時にできるシワの先端
肩井:肩先と首の根本の中間、肩がこると自然と手が行く所。痛いけど気持ちがいい位の力で押しながら、肩を回すといいでしょう。
肘の周辺:肘を90度曲げてお腹の前に腕を持ってきたときに、肘の外側に出来るシワの先端から親指と人差し指の間に向かい手の平の幅くらい押して行き、一番痛い所。
中間:おへそと鳩尾の中間
③気血の滞りタイプ
外傷やストレス、あるいは長時間同じ姿勢でいることなどが原因となり、気と血が滞ってしまい肩がこります。
ストレスによる肩こりや、長時間のデスクワークなどの肩こりはこのタイプに該当します。
《肩こりの特徴》
こりの程度は比較的激しく、強く揉むと痛い・張り感が強い、あるいは刺す様な痛みがある・肩の皮膚が暗い紫色や、カサカサあるいはザラザラしている・精神的に緊張すると肩こりが酷くなる。
《その他の随伴症状》
精神が抑鬱ぎみ・胸や脇が張る・イライラして怒りっぽい・月経不順など
《養生法》
ストレスを溜めないようにしましょう。また、できるだけ同じ姿勢を長時間とらないようにしましょう。デスクワークの方などは、1時間に1回程度は肩を回したり、ストレッチをしましょう。
《ツボ刺激》
大椎:首を前に倒した時に、首の根本で一番飛び出す骨の下。
至陽:両肩甲骨の一番下の尖った所の間で、背骨の上。
天柱:首の骨と後頭部の骨が交叉する所で、首の骨の両サイドの筋肉の盛り上がった所。
風池:天柱から指の幅で1本位外側に向かい凹んだ所
後渓:手の小指の付け根の外側から1㎝位手首に向かって行ったあたりで、手を握った時にできるシワの先端
肩井:肩先と首の根本の中間、肩がこると自然と手が行く所。痛いけど気持ちがいい位の力で押しながら、肩を回すといいでしょう。
肘の周辺:肘を90度曲げてお腹の前に腕を持ってきたときに、肘の外側に出来るシワの先端から親指と人差し指の間に向かい手の平の幅くらい押して行き、一番痛い所。
膈兪:至陽の両サイドの筋肉の高い所
太衝:足の甲で、親指の骨と人差し指の骨が交わった所の直ぐ前
陽陵泉:膝関節の外側の下の凹んだ所
④気の不足による血の滞りタイプ
血は気の推動作用という働きによって、体中を巡っています。疲労や慢性疾患などによって、気を消耗してしまうと血が滞ってしまうことがあり、それにより肩こりがおこります。
《肩こりの特徴》
このタイプは、肩を揉むと気持ち良くなる人と、揉まれるのを嫌がる人がいます。また、肩こりが悪化すると刺す様な痛みを感じることもあります。
肩の皮膚が暗い紫色や、カサカサあるいはザラザラしていることもあります。横になったり休むと肩こりが楽になる。
《その他の随伴症状》
気力がない・少し動いただけで汗がでる・息切れ・精神疲労など
《養生法》
疲労を溜めないようにし、休養を十分とりましょう。
《ツボ刺激》
大椎:首を前に倒した時に、首の根本で一番飛び出す骨の下。
至陽:両肩甲骨の一番下の尖った所の間で、背骨の上。
天柱:首の骨と後頭部の骨が交叉する所で、首の骨の両サイドの筋肉の盛り上がった所。
風池:天柱から指の幅で1本位外側に向かい凹んだ所
後渓:手の小指の付け根の外側から1㎝位手首に向かって行ったあたりで、手を握った時にできるシワの先端
肩井:肩先と首の根本の中間、肩がこると自然と手が行く所。痛いけど気持ちがいい位の力で押しながら、肩を回すといいでしょう。
肘の周辺:肘を90度曲げてお腹の前に腕を持ってきたときに、肘の外側に出来るシワの先端から親指と人差し指の間に向かい手の平の幅くらい押して行き、一番痛い所。
足三里:膝の皿の外側の下から、指の幅四本分下の骨際
血海:膝の皿の内側の上から指の幅三本分上
膈兪:至陽穴の両サイドの筋肉の高い所
⑤陰陽バランスの乱れタイプ
長期間にわたるストレス、老化、慢性疾患、過度な性行為などが原因となり陰陽のバランスが乱れる事により起こります。
《肩こりの特徴》
陰陽のバランスの乱れ方の違いにより、肩を揉むと気持ち良くなる人と嫌がる人がいます・
このタイプは温めても楽になりません・肩に張り感がある・緊張、怒り、イライラ、性行為などで症状が悪化する。
《その他の随伴症状》
眩暈・耳鳴・赤ら顔・イライラして怒りっぽい・寝汗をよくかく・膝や腰がだるいなど
《養生法》
ストレスを溜めないようにし、睡眠はしっかりとりましょう。出来るだけ12時前に寝るようにしましょう。
《ツボ刺激》
大椎:首を前に倒した時に、首の根本で一番飛び出す骨の下。
至陽:両肩甲骨の一番下の尖った所の間で、背骨の上。
天柱:首の骨と後頭部の骨が交叉する所で、首の骨の両サイドの筋肉の盛り上がった所。
風池:天柱から指の幅で1本位外側に向かい凹んだ所
後渓:手の小指の付け根の外側から1㎝位手首に向かって行ったあたりで、手を握った時にできるシワの先端
肩井:肩先と首の根本の中間、肩がこると自然と手が行く所。痛いけど気持ちがいい位の力で押しながら、肩を回すといいでしょう。
肘の周辺:肘を90度曲げてお腹の前に腕を持ってきたときに、肘の外側に出来るシワの先端から親指と人差し指の間に向かい手の平の幅くらい押して行き、一番痛い所。
太衝:足の甲で、親指の骨と人差し指の骨が交わった所の直ぐ前
三陰交:内くるぶしの後ろから、指の幅4四分骨に沿って上がった所の骨際
⑥血の不足タイプ
血が不足して肩を栄養出来ないためにおこります。
《肩こりの特徴》
コリは比較的軽度で慢性的・揉まれると気持ちがいい・眼精疲労や睡眠不足、女性の場合は生理で肩こりが悪化
《その他の随伴症状》
眼精疲労・目のかすみや乾燥感・眩暈・顔色がさえず、艶もやない・爪の色艶が悪い・月経量が少ないまたは無月経など
《養生法》
睡眠はしっかりとりましょう。また、できるだけ12時前に寝るようにこころがけましょう。
《ツボ刺激》
大椎:首を前に倒した時に、首の根本で一番飛び出す骨の下。
至陽:両肩甲骨の一番下の尖った所の間で、背骨の上。
天柱:首の骨と後頭部の骨が交叉する所で、首の骨の両サイドの筋肉の盛り上がった所。
風池:天柱から指の幅で1本位外側に向かい凹んだ所
後渓:手の小指の付け根の外側から1㎝位手首に向かって行ったあたりで、手を握った時にできるシワの先端
肩井:肩先と首の根本の中間、肩がこると自然と手が行く所。痛いけど気持ちがいい位の力で押しながら、肩を回すといいでしょう。
肘の周辺:肘を90度曲げてお腹の前に腕を持ってきたときに、肘の外側に出来るシワの先端から親指と人差し指の間に向かい手の平の幅くらい押して行き、一番痛い所。
血海:膝の皿の内側の上から指三本分上
膈兪:至陽穴の両サイドの筋肉の高い所
三陰交:内くるぶしの後ろから、指の幅4四分骨に沿って上がった所の骨際
※最後までお読み頂き有難うございました。ここでは代表的なタイプを紹介させていただきました。実際の臨床では、上記以外のタイプや幾つかのタイプが混ざったものもあります。
また、肩こりには、ほかの病気に関連して発症するケースもあるので、つらい肩こり、頭痛、手や腕の痛みやしびれなどがある場合は、病院の受診をおすすめいたします。