日本人にとって梅酒はとても親しみのある果実酒の1つです。その梅酒に使われる梅ですが、その歴史は古く「日本書紀」「古事記」「万葉集」などにも記載がみられ、昔から栽培されていたことがわかります。
東洋医学における梅の作用には、唾液の分泌を促進し、喉の渇きを収めたり、空咳や下痢を止めるなどの働きがあるといわれています。
また、最近の研究では、「駆虫」「抗菌」「疲労回復」「老化防止」「抗癌」「胆のうの収縮」「白血病の抑制」といった作用があることがわかっています。
《梅酒の効能》
梅酒の効能としては、疲労回復・食欲増進・便秘解消・血行促進・冷え症の改善・夏バテ・虚弱体質改善などがいわれております。
因みに、梅酒を外用湿布に使うと、神経痛や関節リュウマチ、腫れ物の痛みになどに効くともいわれております。
※※ 梅酒の造りかた ※※
《準備》
=時期=
梅酒を作る時期は、青梅が収穫される時期ですので、5月下旬~6月です。
=材料=
青梅・・・・1㎏
氷砂糖・・・300g~800g(好みに応じて)
ホワイトリカー・・1.8ℓ
容器は4~5ℓがおすすめです。(目安は漬ける梅の約4倍位)
大きめのザル
清潔な布巾
竹串・・・1本~数本
※上記の分量で、2.2~2.4ℓの梅酒が作れます。
※アルコールについて
果実酒造りにホワイトリカーを使用する大きな理由としては、ホワイトリカーは無味無臭の為、果実の風味を生かすには最適だからです。しかし、ホワイトリカー以外のお酒でも果実酒は造れます。甲類の焼酎以外でよく使われるものとしては、日本酒、ブランディー、ウイスキー、ウォッカなどが一般的です。但し、無味無臭のホワイトリカー以外のお酒を使う場合は、梅の風味を楽しむためにもクセのある味のお酒は避けた方が無難といえます。(焼酎でも芋焼酎などの乙類の焼酎は果実酒造りには向きません)
又、ホワイトリカーを使用するもう一つの理由にアルコール度数があります。ホワイトリカーの多くがアルコール度数35度です。これ以下の度数だと、カビの発生や梅のエキスが抽出されにくくなります。このことから、ホワイトリカー以外のお酒を使用する場合は、アルコール度数が35度以上の物をお使いください。
※砂糖について
果実酒に氷砂糖が使われる理由としては、ホワイトリカー同様に、味にクセがないことと、果実のエキスを抽出するのに適した砂糖だからです。梅酒などの果実酒造りには最適な砂糖というわけです。
因みに、砂糖を使わなくても梅酒は作れますが、梅のエキスを抽出するのに、時間がかかってしまいます。
〈手順〉
①青梅は黄色くなる前の粒がそろった傷の無いものを選んで下さい。
②青梅を傷つけないように、丁寧に流水で洗い、水に2~4時間つけてアクを抜きます。(梅のアクは青い梅ほど多く含まれます。逆に黄色くなって熟れるほど少なくなります。もし、黄色い梅を使う場合は、アク抜きはしなくて大丈夫です)
③洗い終わった梅をザルなどに移し、自然乾燥させる。その後、清潔な布巾で水気をよく拭き取ります。この時に少しでも水が残っていると失敗の原因になります。梅のくぼみやなり口などには十分注意して下さい。また、ペーパータオルで拭く方もおれらますが、ペーパータオルだと、ペーパーの一部がくぼみやなり口などに付着してしまう事があるので、おすすめできません。
④竹串などを使って、ヘタを取ります。この時も梅を傷つけないように注意して下さい。ヘタを取らないとエグ味が出てしまうことがあるので、ヘタは必ず取りましょう。
これで梅の下ごしらえが完成です。後は消毒済みの容器に梅と氷砂糖を交互に詰めます。(容器の消毒の仕方は、当HPの「疾患と健康法」→「養生編」→「食養生」→「手作り健康酒」→「準備」→「保存容器と消毒」をご覧ください)
⑤梅と氷砂糖を2等分にし、2回に分けて容器に入れます。
順番としては、先ず2等分にした片方の梅を傷つけないように丁寧に容器に入れ、その上からやはり2等分にした片方の氷砂糖を振りかけるように入れます。次に、残りの梅を1回目と同様に丁寧に入れ、残りの氷砂糖を振りかけます。
最後にホワイトリカーを注ぎます。
⑥あとは冷暗所で保管するだけですが、時々容器を揺すり、糖分が均等に混ざるようにします。3ヵ月位するとサッパリした梅酒が出来上がります。更にそこから9か月(梅を漬けてから1年)位するとコクがでて飲み頃となります。1年~1年半たったら梅の実は取り出しましょう。これは、梅酒が濁るのと、梅酒にしみ出した梅の風味が梅に戻るのを防ぐ為です。取り出した梅は、食べられます。
以上が梅酒の造り方です。梅酒は意外と簡単に造れます。自分好みの梅酒造りにチャレンジしてみてはいかがですか。
最後までお読み頂き有難うございました。