中医学では「体を構成し、生命活動を維持」する物質として、「気」「血」「水(津液)」「精」「神」の5つがあります。
「気・血・水」は体を構成し、生命活動を維持する3大物質といわれるのに対して、「気・精・神」は、生命の根本を担っていることから「三宝」といわれております。
ここでは、「精」を紹介します。
=精=
「精」とい物質は中医学独特の概念ですので、最初はピンとこないかもしれませんが、一言でいえば、「人間が生きてゆくうえで必要な根本的な物質=精微物質」で、「先天の精」と「後天の精」に分類されます。
「先天の精」は両親から受け継ぎ、生まれ出た時には既に腎へ蓄えられており、子孫へ伝えてゆく物質です。
精は生きるために使われるため、「先天の精」だけではやがて枯渇してしまいます。
そこで、呼吸や食事をすることにより体内に取り込まれた栄養物から「精」が作られ、「先天の精」を補充します。
このように、生まれた後から作られる「精」を「後天の精」といいます。
先天であれ、後天であれ、腎に溜め込まれるので、総称して「腎精」といわれます。
「腎精」の働きは様々で、成長や生殖に関与したり、衛気や元気の原料にもなります。
さらに「精」からは「髄」が作られます。
「髄」は脳や耳、骨などを栄養したり、骨髄からは血が作られます。
「精」は、生後どんどん腎に溜め込まれてゆき、20代~40代で最も充実し、その後は徐々に減ってゆきます。
このことから「精」の不足は、発育の遅れ・早期老化・生理の異常・精力の減退・健忘・めまい・難聴・耳鳴り・足腰に力が入らなかったり痛む・歯が抜ける・脱毛や若白髪、などといった様々な症状を引き起こします。
また、加齢に伴う様々な老化現象も腎精や腎気の衰えによるものです。
上記のことから「精」は一言で言えば、『生命の源のエネルギー』と考えられています。